印刷料金改定の要請へ 県工業組合、窮状訴え 資材高騰「限界超えている」


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用紙やインキなど、資材コストが高騰している状況を説明する県印刷工業組合の平山達也理事長(左から2人目)ら=30日、南風原町兼城の県印刷工業組合

 県内105の印刷会社が加盟する県印刷工業組合の平山達也理事長らは30日、南風原町の同組合で会見を開き、用紙やインキなど印刷資材の価格高騰が相次いでいるとして、「コスト削減の企業努力を続けてきたが、限界を超えている」と業界の窮状を訴えた。用紙が値上げされる来年1月以降、資材コストの上昇幅は前年比15%以上になると見込んでいる。今後、組合として官公庁に発注料金の改定を要請するなど、コスト上昇分の価格転嫁について取引先の理解を求めていく。具体的な料金改定は、各企業が取引先と協議する。

 組合によると、新型コロナウイルス禍からの世界的な景気回復による需要増加や、生産国での自然災害などによる供給不足、原油高騰を受けて、製版に用いるアルミ板や印刷用インキ、溶剤などが既に値上がりしている。

 2022年1月以降は、用紙についても15%以上の値上げを製紙メーカーが通知している。

 さらに工場で使う電気やガス料金、最低賃金の引き上げによる人件費も増加していて、コストは大幅に増加している。

 一方で、コロナ禍で印刷物の需要は大きく落ち込んでいる。平山理事長によると、売り上げは平均で3割減少し、イベント用や観光業向けを主体にする会社では9割減となったケースもあるという。デジタル化の進展も影響している。

 平山理事長は「世界的な流れの中でコストが下がる見通しは立たない。価格を据え置きたいが、各社で吸収できる額を超えている。印刷業は地域の雇用や経済循環に貢献している側面もある。ぜひ理解をお願いしたい」と話した。 

  (沖田有吾)