厚生労働省エイズ動向委員会作成の「エイズ発生動向年報」によると、沖縄は2020年の人口10万人当たりのエイズ患者数が0・69人で全国2位、HIV感染者数は0・89人で全国3位の高さだった。
早期投薬で発症を抑えられるにもかかわらず、医療機関を受診した時にすでに発症している割合は、沖縄では18年は35%、19年は42・1%、20年は43・5%で増加傾向にある。全国平均の30%程度を上回る。
県内では現在、八重山を除く5カ所の保健所と6カ所の民間医療機関で検査を実施している。
エイズ治療中核拠点病院の琉球大学病院でHIV感染者やエイズ患者の治療に当たる健山正男医師は「HIVを放置すれば、必ずエイズを発症する。発見が遅れるほど合併症のリスクも高まる。早期発見するためにも、積極的なHIV検査が必要だ」と警鐘を鳴らす。
一方で「感染が分かると職場から退職を迫られたり、結婚が破談になったりした事例がある。社会的に孤立することを恐れて検査を躊躇(ちゅうちょ)する人もいる」と現状を話した。
「この病気にはまだ社会的な偏見が根強く残る。社会の意識を変え、安心して検査が受けられる環境をつくる必要がある」と指摘。また「医療費の負担が重く、治療を続けられないこともある。国の制度改正も必要だ」とも指摘した。