首里城大龍柱の向き「矛盾だらけ」 研究会など3団体が技術委に抗議 再考求める


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首里城の大龍柱の向きを巡り、国の技術検討委員会への抗議声明を発表する研究者ら=2日午前、沖縄県庁

 首里城再建に向けて研究者らでつくる「首里城再興研究会」など3団体の代表者らは2日、記者会見し、国の技術検討委員会(委員長・高良倉吉琉球大名誉教授)が大龍柱を相対(向かい合わせ)とする「暫定的な結論」を下したことに、抗議する声明を発表した。「判断根拠の筋が通っておらず結論ありきの決定」だとして、再考を求めた。

 大龍柱を巡っては、2019年の焼失後に正面向きの古写真(1877年)の存在が明らかになった。技術検討委員会の高良委員長は1日、1992年の復元時に根拠の一つとなった、相対の絵図が描かれた尚家文書(1846年)から、1877年までの間に向きに変更があった可能性に言及。その経緯を示す証拠が見つからず、暫定的な結論として前回の復元を踏襲し横向きとする方針を示した。

 抗議声明は同研究会と大龍柱を考える会、絵図から考える首里城の会の3団体連名。友知政樹沖縄国際大教授は「横向きから正面向きになったという仮説を裏付ける証拠がなく、『暫定的』とするなら正面向きが理論的な結論の出し方だ。非常に矛盾だらけだ」と指摘した。永津禎三琉球大名誉教授は「絵図で向きを特定することは、その時代や絵師の意図と外れている。その反証もなく、ただひたすら絵図が正しいと主張している」と疑問を呈した。(當山幸都)