食用?儀式用? 14世紀のカメ甲羅、中城城跡から出土 沖縄県立博物館で展示


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 中城村教育委員会による中城城跡の発掘調査で、貴重な出土品が相次いで確認された。同城跡の中心部分「一の郭」からは、14世紀のアオウミガメの甲羅(一部分)が出土した。県立博物館・美術館によると、同時期のカメの甲羅がまとまった形で確認されたのは県内初。「南の郭」では鍛冶で鉄製の道具を作った証拠となる「粒状滓(りゅうじょうさい)」などが見つかった。鉄製の矢尻やくぎを製造していたとみられる。同規模で鍛冶の跡が確認できるのは県内でも珍しいという。

 県立博物館・美術館で11月30日に始まった企画展「中城村のグスク~中城グスクと新垣グスク」で展示している。2022年1月10日まで。アオウミガメの甲羅の一部には穴が開いていた。儀式で使用したものか、食料にしたのかなど目的は分かっていない。

 村教委は09年から19年にかけて調査した。「南の郭」の鍛冶関連の遺物は科学分析し鍛冶の作業工程も判明した。鍛冶が行われた時期は15世紀中頃から16世紀前半。粗鉄から不純物を取り除き、鉄の純度を高める「精錬鍛冶」も行われていたことや鉄材料の産地が中国とみられることも分かり、鍛冶工房の位置も特定した。

 企画展では中国産の青白磁や、県内2例目となる十字の記号が刻まれた「刻印石」など多彩な成果を展示中だ。同館学芸員の山本正昭さんは「グスクのイメージを一変させる展示内容になっている。世界遺産のすごみや奥深さを感じてほしい」と来場を呼び掛けた。

 企画展の問い合わせは同館(電話)098(941)8200。
 (古堅一樹、写真も)

中城城跡の「一の郭」から出土した14世紀のアオウミガメの甲羅の一部。企画展で展示している=11月30日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館
中城城跡の「南の郭」で見つかった鍛冶場の痕跡である「鍛造剥片」(左)や「粒状滓」