辺野古で防衛省対抗措置 今後想定される流れは?【チャート図付き】


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 名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局が提出した設計変更申請を不承認とした県への対抗措置として、防衛省は行政不服審査法に基づく審査請求を選択した。防衛省の申し立てを受け、国交省は今後、県の不承認の判断について審査する。県の不承認処分を取り消す裁決をする公算が大きいとみられ、その後も県と国の双方が対抗措置を講じ、長期化が予想される。

 防衛省はこれまでも行政不服審査法に基づき、審査請求をしている。2018年8月に県が埋め立て承認を撤回した際も制度を使い、国交相は19年4月に承認撤回を取り消す裁決を下した。

 防衛局の手法は「私人なりすまし」で、制度の乱用だとの批判が多くの専門家から上がった。県は関与取り消し訴訟を起こして対抗したが、20年3月、防衛局が「私人」と同じ立場で審査請求したのは違法ではないとの判断が最高裁で確定した。

 ただ、今回の県の不承認を国交相が取り消した場合でも、新基地建設の完成に必要な県の承認が得られるわけではない。県が別の理由を付けて再び不承認とすることや、国交相が承認するよう県に是正指示をすることも考えられる。辺野古を巡る国と県の訴訟はこれまでに9件起こされたが、今回の不承認を巡ってさらなる法廷闘争に発展する可能性が高い。