沖縄知事「法の趣旨をねじ曲げ」 防衛局の不服審査を批判


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県議会を終え、取材に応じる玉城デニー知事=7日午後6時40分、県庁(又吉康秀撮影)

 玉城デニー知事は7日、沖縄防衛局が行政不服審査法(行審法)に基づく審査請求を国土交通相へ提出したことに対し、「行審法の乱用というような形の手段だ。法の趣旨をねじ曲げている行為にしかならない」と強調した。

 行政不服審査法は本来、私人の権利救済を目的とする制度だが、新基地建設を巡り、国はこれまでも行審法を用いて県の行政処分を取り消してきた。玉城知事は、本来は行政訴訟法に基づく取り消し訴訟を提起することが常道だとした上で、「国と地方を対等協力の関係とする地方自治の観点から極めて重大な問題だ。全国のどの地方自治体でも起こりうる」と危機感を示した。

 玉城知事は、沖縄防衛局が設計変更を申請する要因となった軟弱地盤の存在に触れ、「私はこの工事が(最短で)12年で完成するとは到底考えられない。そもそもこのような難工事をした実績も機材も(国内では)ないからだ」と不承認とした判断の背景を強調した。

 岸田文雄首相に対しては「一度立ち止まって、県と話をするという方針に変更してもおかしくはない」と述べ、引き続き政府に対話を求めた。
 (梅田正覚)