白梅之塔隣のガマ「下の壕」が閉鎖 入口で落石…風化が原因か


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ガマ入り口上部の一部(赤茶色の箇所)で落石が発生した。真下にはガマ内部へ続く階段がある。=13日、糸満市真栄里のマチドーヌティラ(下の壕)

 沖縄県糸満市真栄里の白梅之塔に隣接し、沖縄戦で負傷兵の看護に動員された学徒らが亡くなったガマ「マチドーヌティラ」(下の壕)で落石があり、1カ月近く閉鎖されている。新型コロナウイルス禍の前には平和学習で年間約2万人が利用しており、修復を望む声が関係者から上がっている。

 落石したのはガマ入り口の上部で、長年の風化が原因とみられる。10月に国吉自治会がガマ周辺で草木を刈った際、一部の落石を確認した。自治会は修復支援を求めたが、市は自然壕に対する支援措置がないことなどを理由に断った。自治会や市などは安全を考慮し、11月14日にガマを閉鎖した。神谷正和自治会長は「何とかしたいが、自治会で多額の修復工事を負担するのは困難だ」と肩を落とす。

 2018年には沖縄戦で住民らが避難した市内のガマ「マヤーアブ」が閉鎖された。県観光ボランティアガイド友の会の大田玲子ガマ対策部長は「地元自治体が『平和行政』をどう考えていくのかが問われる話だ。保存のためには文化財指定すべきだ」と指摘する。一方、市は「市内に200以上ガマがあり、特定のガマの支援は財政的に厳しい」との見解を示した。
 (比嘉璃子まとめ)