トイレ詰まりに44万円「多額請求」に気を付けて! 水道局「マグネット広告」で対抗


社会
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過大請求トラブルの防止に沖縄市上下水道局が市内全戸に配布したマグネットタイプの相談案内

 【沖縄】トイレや台所など水回りの不具合に関する工事で、過大請求を受けるトラブルがこの数年で相次いでいる。消費者庁は8月に水道屋本舗の名前で営業していた「アクアライン」(広島市)に一部業務停止命令を出したが、県内でも同様のトラブルが散見されている。確認された事例には、業者が配布した冷蔵庫などに貼り付けるマグネット広告を見て電話をかけ、被害に遭ったケースが多く、沖縄市上下水道局は同じマグネットタイプの問い合わせ案内を配布して「対抗」を試みている。

 県消費生活センターによると、水回りのトラブルに関する相談は2018年~21年7月に47件あった。このうち消費者庁が業務停止命令を出したアクアラインに関する相談は16件。残りは別の業者だった。

 アクアライン以外の業者と消費者の訴訟を担当した沖縄弁護士会で消費者問題対策特別委員会委員を務める寺田明弘弁護士によると、トイレの詰まりで業者を呼んだところ、44万円もの修理費用を請求されたケースもあった。この事例では那覇簡裁の判断でクーリングオフにこぎつけた。だが通常は2~3万円の工事で業者が10万円程度を請求し、支払いに応じなければ少額訴訟を提起する手法も相次いでいるという。寺田氏は「弁護士費用よりは安いということで、支払いに応じて泣き寝入りする人もいるはずだ」と推測する。

 昨年夏に沖縄市であったトラブルは高齢者が被害に遭った。市上下水道局によると、トイレの故障に見舞われた高齢者がマグネット広告を見て業者に電話したところ、20万円近くの修理費用を請求された。これを知った別の水道工事業者が通常の3~4倍の費用を請求されていると指摘し、市上下水道局に通報して発覚した。

 市上下水道局は注意喚起のために「対抗策」として今年3月、問い合わせ案内番号を記したマグネット約5万個を市内全世帯に配布。トラブルが起きた際にまずは24時間対応の市上下水道局の相談窓口に電話し、アドバイスを求めるよう促した。水道局の勤務時間外は委託業者が相談を受けるようになっている。

 新里智昭上下水道部長は「もちろん優良業者も多いが、水回りのトラブルは一刻も早く解決したい心理もあり、過大請求に遭うリスクもある。電話の助言に沿って応急措置を取れることもある。その上で複数の業者に相見積もりを取るなど、冷静に対応してほしい」と呼び掛けている。
 (島袋良太)

 


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