辺野古「本当に必要か」米識者ら疑問 知事も参加、普天間返還合意25年イベント


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オンラインで普天間飛行場の返還・移設問題について話し合う(左上から時計回りに)ウィリアム・ブルックス氏、ケント・カルダー氏、玉城デニー知事、デービッド・シアー氏=17日

 米ジョンズ・ホプキンズ大高等国際問題研究大学院ライシャワー東アジア研究所は16日、米軍普天間飛行場の返還合意から25年を振り返るオンラインイベントを開催した。研究所のウィリアム・ブルックス上級顧問は「代替施設はオスプレイやヘリの駐機場でしかなく、本当に必要なのか」などと疑問を呈した。玉城デニー知事も参加し、飛行場の早期閉鎖や名護市辺野古への移設断念を訴えた。

 ブルックス氏は、新基地建設予定地に広がる軟弱地盤が深刻で改良は技術的に困難だとし、移設では返還遅れは避けられないと説明した。ヘリより航続距離の長いオスプレイが配備されたとして「九州などの飛行場への移設や嘉手納基地への統合も可能だ」と語った。政治的な決断で計画見直しは可能だと強調した。

 玉城知事は新基地建設に反対する理由として過重な基地負担や民意、環境破壊、軟弱地盤を挙げた。「普天間飛行場の1日も早い危険性除去にはつながらない」と強調して日米両政府に再検討を求める考えを示した。米国民も当事者として新基地建設計画の問題を考えるよう訴えた。

 一方、研究所上級顧問のデービッド・シアー元国防次官補は、尖閣諸島や台湾との近さから辺野古新基地建設が戦略上必要だとし、「軟弱地盤が明らかになっても日米両政府が新基地建設を進める方針は変わらない。日米は有事の際に必要だと考えている」と述べた。

 (明真南斗)