クルーズ入港の課題解決へコンソーシアム設立 沖縄発着と世界周遊を優先予約に


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 内閣府沖縄総合事務局や港湾関係者らはクルーズ船の受け入れ再開を見据え、このほど「クルーズポートコンソーシアム沖縄」を立ち上げた。県内港湾の予約方法を見直し、寄港より経済効果の高い「沖縄発着クルーズ」と、世界各地を周遊する「ワールドクルーズ」を優先予約に改めた。今年受け付けた2023年の予約では、沖縄発着、ワールドともにコロナ流行前の19年を上回っており、関係者は観光の質向上や業務の効率化へ期待感を示している。

 クルーズ船寄港に関する課題解決を目指し、同コンソーシアムは20年6月に設立された。国と県内港湾管理者(県、宮古島市、石垣市、那覇港管理組合)の5者が連携し、質の高いクルーズ観光を推進している。

 従来クルーズ船が入港するには、港湾ごとで予約が必要となっている。ただ、船会社が複数港を周遊する旅程を組んだ際、一部で予約できないと予約済みの港も含め旅程全体を見直さなければならないケースがあった。予約の仮押さえで直前にキャンセルが発生し、港湾にとっても機会損失になる事例もあった。

 コンソーシアムによって受け付け方法を改めたことで、船社の旅程ごとに予約を受け付け、一度で複数港の予約が可能になった。

 対象は中城湾港、本部港、石垣港、平良港の四つ。23年に予定する寄港について、沖縄発着クルーズは19年の4回を大幅に上回る18回の予約を受け、ワールドクルーズも19年比で2回増の11回となっている。

 24年の予約については、那覇港も同時期にできるよう調整し、来年4~5月頃に受け付ける。

 既に欧州最大のクルーズ会社コスタクルーズ(イタリア)は23年春に、3泊4日で宮古島や台湾を巡る那覇発着クルーズ商品を発表している。沖縄発着クルーズは、前泊や後泊を伴うことが多くクルーズ客の消費単価が高まる。ワールドクルーズの参加者は富裕層が多く、さらなる消費が期待できる。

 各湾港の整備もここ数年で進んでいる。石垣港は今年2月から、22万トン級に対応できる岸壁の利用を開始した。平良港と那覇港の新港ふ頭地区も、22年春から同水準の岸壁の運用を始める。本部港も20万トン級対応に向けて整備を進めている。

 沖縄総合事務局の坂井功開発建設部長は「質の向上を目指し、クルーズが良い形で再開して観光発展に寄与できるようにしたい」と話した。
 (中村優希)