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【名護】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題が最大の争点となる名護市長選挙は、来年1月23日の投開票まで1カ月となった。2期目を目指す現職の渡具知武豊氏(60)=自民、公明推薦=と、市議で新人の岸本洋平氏(49)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし推薦=が出馬を表明しており、一騎打ちの構図となる見通しだ。
辺野古新基地建設反対を掲げる「オール沖縄」勢力と、建設の加速化を狙う政権の双方が知事選と並ぶ最重要選挙の一つと位置付けており、両陣営は1月16日の告示日を前に激しい前哨戦を繰り広げている。
渡具知氏は保育料や給食費、子ども医療費の無償化など任期中の実績を前面に打ち出し、市政継続を訴える戦略だ。
渡具知氏は4年間の市政運営に自信を見せる。新基地建設について「あえて触れる必要がない」(陣営幹部)とこれまで同様、是非を明確にせず選挙戦に臨む方針だ。
自民党本部も全面支援を表明。菅義偉前首相や茂木敏充幹事長らが既に名護入りし、支持層の引き締めを図る。年明けに著名な国会議員や、各職域・団体の代表として当選した参院議員の投入を本格化させる見通しだ。
衆院選は自公のセット戦術が奏功し、陣営関係者は「衆院選の勢いを持続させたい」と意気込む。
渡具知氏や自民市議、女性部の手振りなど活動を活発化させる一方で、陣営関係者からは支持層以外へのアピールの遅れなどを指摘する声も上がる。陣営関係者は「出遅れ感は否めないが実績が十分に浸透できれば再選につながるはずだ」と強調した。
「オール沖縄」が支援する岸本氏は、玉城デニー知事の辺野古埋め立ての設計変更申請不承認もてこに辺野古の争点化を図り、新基地反対の民意の取り込みを図る戦略を描く。若年層への浸透も狙いSNSの発信やイベントにも力を入れる。
渡具知陣営より早い8月下旬に市宮里に事務所を構え、衆院選後は各地で支援団体が順次発足した。岸本氏本人が住民と直接懇談し、ビラ配りなどの活動を支援団体中心に展開している。
オール沖縄の政党・団体も市内各地で街宣車を回すなど支援のギアを上げる。玉城知事も年明けから応援を本格化させる見通しだ。
現職が実績に掲げる子ども医療費などの無償化継続も訴え、現職の成果の“打ち消し”も狙う。米軍再編交付金に頼らないとする姿勢に市民から懸念もあることを踏まえ、「交付金に頼らずとも市政運営できるとの具体的な数字を出していく」(陣営関係者)と訴えの強化を図る方針だ。
('22名護市長選取材班)