「遺骨含む可能性ある土砂」不使用を 糸満市議会が意見書可決


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糸満市役所(資料写真)

 【糸満】糸満市議会(金城寛議長)は24日の12月定例会最終本会議で、国に対し「沖縄戦戦没者の遺骨等を含む可能性のある土砂を埋め立てに使用しないよう求める意見書」を賛成多数で可決した。浦崎暁氏(共産)が議員提案し、賛成14人、反対4人、退場2人で可決した。国が主体となり戦没者の遺骨を収集することも求めた。

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局は県へ申請した設計変更で土砂採取の候補地を県内7地区9市町村に広げた。鉱山開発計画がある糸満市米須を含め、沖縄戦の激戦地だった本島南部地域から土砂搬出の可能性があることについて、県内外の議会で土砂の使用に反対する意見書可決が広がった。

 糸満市議会では3月定例会で、基地建設の埋め立て土砂採取の断念を求める「戦没者を冒とくする土砂採取の断念等を求める意見書」は否決された。今回は県議会の意見書を基に、「基地建設」などの文言を使用せず全会一致を目指した。

 討論では反対の立場から、新垣勇太氏(無所属)が「遺骨の混じった土砂が使われた事実がない中で意見書を出すことは今後の公共工事、民間工事に影響を及ぼす可能性がある」と主張した。

 これに対し、賛成の立場から伊敷郁子氏(立民)は全国各地で同様の意見書が可決されていることに触れ「当該地の議会として、戦没者の遺骨等を含む土砂を埋め立てに使用することがあってはならないと意思を示すべきだ」と述べた。

 玉城哲郎氏(無所属)と山城渉氏(同)は、遺骨混入の可能性は判断が難しく「調査が必要」として退場した。

 (比嘉璃子)