【一覧表・米軍めぐる出来事】辺野古「不承認」、相次ぐ落下事故…変わらぬ基地負担<沖縄この1年2021>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
不承認に関連した記者団の質問に応える玉城デニー知事=25日午後、県庁

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設で、玉城デニー知事は11月25日、埋め立て予定地に広がる軟弱地盤の改良工事を追加する防衛局の設計変更について不承認とした。軟弱地盤の存在が判明して工事が長期化し、米軍が使用するまでに少なくとも12年かかることから、辺野古新基地建設では普天間飛行場の危険性を早期に除去できないと指摘した。政府は直後に対抗措置を取っており、新基地建設問題は重大な局面に差し掛かっている。ことしも基地負担が県民に重くのしかかる一年だった。

 普天間飛行場所属機の落下物の事故が目立った。7月にCH53E大型輸送ヘリが渡名喜村近くの海に鉄製コンテナ1個を落下させ、1カ月後の8月にはMV22オスプレイの部品落下事故が発生。米軍は落下したパネルの長さを「約45センチ」と説明していたが、事故から1週間後、長さ約1メートル超だったと修正した。

 11月には宜野湾市の民家敷地内へオスプレイから水筒が落下した。県は同型機の飛行中止を求めたが、日本政府は踏み込まなかった。米軍も県の呼び出しに応じず、同時期に青森県で発生した燃料タンク投棄との対応の違いが問題視された。

 米軍ヘリの不時着や有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)汚染水の流出事故もあった。米海兵隊が普天間飛行場に保管していたPFAS汚染水を独自に処理して下水道に流した。

 米軍基地だけでなく、自衛隊施設からもPFASを含む泡消火剤が飛散する事故があった。自衛隊は当初、PFOS(ピーフォス)を含まないと説明していたが、本紙が調べたところ、国の暫定指針値(1リットル当たり50ナノグラム)を超えるPFOSなどが含まれていた。

 玉城知事は抜本的な基地負担軽減を図ろうと、日本復帰50年まで1年を切った5月、米軍専用施設の全国比を50%に下げるという目標値を掲げるよう日米両政府に要請した。両政府を動かすことができるか、玉城知事の手腕が問われる。

 (明真南斗)