酒税軽減措置が廃止へ/沖銀と琉銀が提携協定、金融界に変化 <県内経済回顧2021>3


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 2021年も、新型コロナウイルスの感染拡大が猛威を振るった。観光産業は2年連続で夏場の稼ぎ時を失い、深刻な打撃を受けた。10月以降は感染状況が落ち着いたことで徐々に消費が活発化していたが、原油高に伴う電気やガソリン価格の高騰、世界的な供給網の混乱による原材料費の上昇などが経済回復にブレーキを掛け、直近ではオミクロン株の拡大が懸念されている。日本復帰50周年となる2022年を前に、沖縄経済の未来は不透明さを増している。苦境の続いた1年を振り返る。


酒税軽減措置廃止へ 沖縄関係税制 復帰50年、自立へ岐路
 

酒税軽減措置の在り方など今後の沖縄関係税制の方向性を確認する自民党沖縄振興調査会=11月19日、東京

 2022年度与党税制改正大網で、沖縄振興開発金融公庫の存続など沖縄関係税制の主要項目は延長となった。一方で、1972年の日本復帰から続く県産ビールと泡盛に対する酒税の軽減措置は、軽減率を段階的に引き下げながらビールを5年後、泡盛を10年後に廃止することが決定した。

 現行の軽減率が35%の泡盛は、年間の出荷量に応じて酒造所を3グループに分け、小規模の酒造に配慮しながら軽減割合を縮小する。

 ビールは23年10月に軽減率を現行の20%から15%に縮小し、全国ビール類の税率統一が予定される26年10月までに措置を廃止する。

 酒造軽減措置を巡っては、地場産業の保護や消費者への価格の恩恵を理由に継続が認められてきた一方で、税負担の公平性や特定産業への優遇措置として延長を疑問視する声も年々強くなっていた。県内酒造業界は自立に向け岐路を迎える。

 (当銘千絵)


沖銀、琉銀が提携協定 金融界に変化、体制移行も
 

包括業務提携協定の締結を発表し、握手を交わす(左から)琉球銀行の川上康頭取と沖縄銀行の山城正保頭取=1月29日、那覇市松尾の八汐荘(又吉康秀撮影)

 2021年は、県内金融界にとって節目の1年となった。超低金利政策や人口減少を背景に全国的に地銀再編が叫ばれる中、県内3行は新たな収益モデルの模索や協業の拡大など、意欲的な取り組みを展開した。

 沖縄銀行は10月1日、県内地銀では初となる持ち株会社体制に移行し、グループの司令塔となる「おきなわフィナンシャルグループ(OFG)」が発足した。山城正保頭取が、持ち株会社の初代社長を兼任。金融を中核にしながら、総合サービスグループとして事業領域の拡大を図る。

 沖銀の山城頭取と琉球銀行の川上康頭取は1月に、包括業務提携協定「沖縄経済活性化パートナーシップ」の締結を発表した。ライバル銀行同士が非競争分野で業務の共同化を図り、両行で約20億円のコスト削減を目指す。節減で生み出された資金を、それぞれの県内企業支援や顧客サービスに充てる。

 沖縄海邦銀行では7月、頭取の上地英由氏が会長、常務の新城一史氏が新頭取に就く新体制が発足した。頭取の交代は2012年以来9年ぶりとなった。

 (小波津智也)