沖縄で感染者1日832人試算も…北部で感染急増、医療逼迫


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 沖縄県の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(座長・藤田次郎琉球大学大学院教授)が26日、県庁で開かれた。本島北部では感染者の急増で医療が逼迫(ひっぱく)し、ほぼ満床となっていることから自宅療養も選択肢とする方針が示された。国の予測ツールでは、このままのペースでいけば3週間後に1日の新規感染者が最大832人に上るとの試算も報告され、医療従事者から「早晩医療は崩壊する」と危機感が相次いで示された。

 北部での患者増加や、今後の急激な感染者の伸びの予想を受け、県は25日に県内の医療フェーズを「フェーズ2」から「フェーズ3B」に引き上げた。沖縄本島で143床から262床まで確保病床を増やす。

 ただ本島北部の2病院は、すでにフェーズ3Bで確保する34床のうち33人が入院している。軽症者用の宿泊療養施設も60室のうち、36室が埋まっている。
年末年始の医療機関の逼迫も想定されるため、県の医療コーディネーターの佐々木秀章医師から、北部では自宅療養を選択肢とする方針が提示された。

 オミクロン株に関し、25日時点で10人の感染者と61人の濃厚接触者がいるとの報告があった。国の指針では、オミクロン株感染者は全員入院し個室管理、濃厚接触者は全員14日間の宿泊療養施設での隔離となっている。この指針について佐々木医師は、濃厚接触者の中には高齢者や小児など宿泊療養に適さない人や、入所に同意が得られない人も多いとして変更を求めた。

 具体的には、軽症者や無症状者は宿泊施設の療養を認め、濃厚接触者は自宅療養を併用することなどを挙げた。他の医師からも現場に即した形で変更を求める声があった。玉城デニー知事は専門家会議の意見を厚生労働省に伝えるとした。

 会議後、藤田座長は「新型コロナは倍々で感染者が増えていく。年末年始の医療体制がぜい弱なところに急に患者が増えたら医療が破綻すると想像できるが、それを想定した上で対応していかないといけない」と強調した。 (中村万里子)