〈90〉コロナ禍の気管支喘息 医師の指示 しっかり継続を


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 咳はするのもされるのもつらいものです。コロナ禍のなか、肩身の狭い思いをされているのは咳がでる方。特に長引く咳の代表である、気管支喘息(ぜんそく)の患者さんです。TV番組では通院に利用している電車内で喘息の咳が悪化し、電車から出ていくようにとの態度をとられた患者さんの厳しい状況が報道されていました。

 喘息の咳はうつりませんが、喘息が悪化する原因にはいわゆる風邪ウイルスもあるため、咳をしている場合はコロナ禍にかかわらずマスク着用は必須です。

 喘息をコントロールするためにはステロイド(気管支の炎症を抑えるお薬)吸入薬を基本とした治療の継続が必要になります。

 喘息の患者さんが新型コロナ感染を恐れるあまり、定期的な通院を控えてしまうこと、喘息の症状がないからといって自己判断で治療薬を減らしたり、治療を中断してしまうことが喘息の発作の誘発につながります。

 重要なことは医師から指示された治療薬をいつも通りしっかりと継続することです。また発作止めとして処方されている吸入薬は速やかに症状を改善させますが、一時的に気管支を広げているだけです。発作止めだけに頼っていると、いつまでたっても喘息はコントロールできません。

 咳や痰、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)、息苦しさなどの喘息症状が悪化した場合には、早めに医療機関を受診してください。

 喘息の方が新型コロナにかかると重症化したり、死亡のリスクが高まったりするのではないかと心配もありましたが、喘息ではない方と比較してもその差はなかったと現段階では報告されています。しかし油断は禁物で、感染対策を怠ることはできません。

 咳をしている方の中には喘息の方がいること、喘息はうつらないことを理解していただきたいと思います。

 繰り返しになりますが、喘息の方は症状が悪化しないよう医師と相談の上で治療を継続してください。可能であれば症状が悪化した場合、改善するまでの休養も検討してください。疲労・ストレスも立派な喘息の悪化要因です。

(新垣紀子、あらかき内科クリニック 内科)