米軍キャンプ・ハンセン部隊集団感染の47%がオミクロン株 外務省が認定 県内は新たに最多8人


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 外務省は29日、クラスター(感染者集団)が発生したキャンプ・ハンセンの部隊から採取された新型コロナウイルスの検体検査で全体の半数近くの47%が新型変異株のオミクロン株と認定したと発表した。日米合同委員会を通じて米側から通知されたという。ハンセンの従業員らからオミクロン株の感染者が多数確認されており、懸念された基地内での拡大が裏付けられる形となった。

 沖縄県は29日、オミクロン株の感染者を新たに8人確認したと発表した。うち1人は、米軍関係者との接触歴がなく感染経路が不明で、市中感染とみられる。1日当たりのオミクロン株感染者の発表数としては最多で、県内で感染が確認されたのは計20人となった。

 県はこれまでのコロナ感染者のうちデルタ株でないことが判明し、オミクロン株の可能性がある15人のゲノム解析を進める。糸数公医療技監は中には渡航歴のある人もいるとし「今後、市中感染が基地以外のルートで広がっていく可能性もある」と警戒感を示した。

 県内でオミクロン株感染が確認されたのは10~50代の8人。内訳はハンセンと嘉手納基地の関係者計2人、これまでオミクロン株感染が確認された人の家族5人、市中感染とみられる1人。いずれも重症ではないという。

 米軍基地との関連が確認されていない市中感染の事例は名護市の30代女性。21日に熱などの症状が現れ、医療機関を受診し陽性が判明した。現時点で濃厚接触者は2人。

 米軍基地からは29日、新たに20人の感染が県に報告された。嘉手納基地6人、キャンプ・ハンセンとキンザー各4人、フォスター3人、普天間基地、その他、不明(確認中)が各1人。ハンセンの大規模なクラスター(感染者集団)は計281人となった。

 政府はオミクロン株か否かの検査実施を米側に要請していた。これを受け米側が変異株のデルタ株検出に使っていたPCR検査を行った結果、47%がデルタ株に陰性と判明し、日米双方の基準に照らし「オミクロン株と見なした」としている。

 米側の検査について外務省は採取された検体数は「明らかにできない」としたが、「広がりを把握する上では十分な数の検査の結果」と説明。オミクロン株は感染力が高いとされていることから、日米は感染拡大防止対策の面で、新型変異株の前提で対応していくことで一致したという。(斎藤学、吉田早希)