景況9期連続「悪化」 沖縄公庫10~12月 経済再開で幅縮小


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 沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)は12日、2021年10~12月の県内企業景況を発表した。前年同期と比較し、業況が「好転した」とする企業から「悪化した」とする企業の割合を差し引いた業況判断指数(DI)はマイナス16・4だった。9期連続のマイナスだが、緊急事態宣言解除後の経済活動再開の影響で「悪化」超幅は縮小した。一方、原材料や原油の価格高騰で、収益が圧迫される傾向にある。

 業種別ではサービス業を除き軒並み改善した。小売業がマイナス7・5となり、前期比で33・0ポイント上昇した。スーパーの衣料品や外食部門、土産品店が好調だった。

 サービス業は二極化し、旅行社やホテル関連のリネンサプライ会社で持ち直しがみられたが、観光施設やレジャーは回復が鈍い。前年同期に実施した国の需要喚起策「Go To トラベル」が停止しており、個人客に弱さがみられた。

 卸売業は、建築資材や機械などの卸売会社が資材価格高騰の影響を受け、価格転嫁や仕入れ先変更の対策をとっている。

 雇用判断DIは前期から12・0ポイント増の31で「不足」超幅が拡大した。コロナ沈静化に伴う人流回復で、多くの業種で人手不足となっている。

 22年1~3月の見通しはマイナス0・9と「悪化」超幅が縮小する見通しだが、感染状況の悪化を受けて下振れする可能性もある。

 担当者は「コロナ禍の2年間で企業の借入金の返済期間は10年延びたと言われており、今後も気になる点だ」と話した。

 調査は21年11月下旬~12月下旬に実施し、県内に本社がある336社から回答を得た。オミクロン株の感染急拡大など、最新の動向は反映されていない。

  (中村優希)