沖縄戦の遺骨、法医学の知識で調査 学会、ガマフヤーに協力


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
糸満市で行われた戦没者の遺骨の収集活動=2021年8月(日本法医病理学会提供)

 太平洋戦争末期の沖縄戦で亡くなった戦没者の遺骨を収集する「ガマフヤー」(那覇市)の活動に、和歌山県立医大法医学講座の近藤稔和教授(54)らが協力している。今年8月で終戦から77年。戦没者遺族の高齢化も進む中、専門的知見を遺骨の調査や身元確認に役立てたいとしている。

 ガマフヤー代表の具志堅隆松さん(67)によると、沖縄戦では多くの住民らが「ガマ」と呼ばれる自然洞窟に逃げ込み、「集団自決」(強制集団死)や米軍の攻撃で死亡した。具志堅さんは、近藤教授が理事長を務める「日本法医病理学会」に協力を依頼し、2018年から毎夏、一緒にガマの調査や遺骨の収集をしている。

 21年8月の調査では和歌山県立医大の学生2人も加わり糸満市の三つのガマと周辺を調査。200個以上見つかった遺骨の一部は焼け焦げ、米軍が手りゅう弾を投げ込んだ可能性があることが分かった。約30本の歯を長崎大歯学部で鑑定し、少なくとも18人分に上ることも判明した。

 具志堅さんは「専門的な調査はほとんど行われてこなかった。国は遺骨収集や鑑定にもっと力を入れるべきだ」と指摘。近藤教授は「遺族は高齢者が多く時間がない。できるだけ早く遺族のもとに帰れるよう、調査を続けたい」と強調した。

(共同通信)