観光客激減の沖縄 コロナでGDP年3400億円以上の減少と試算 OCVB・りゅうぎん総研


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沖縄上空

 沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB、下地芳郎会長)とりゅうぎん総合研究所(伊東和美社長)は21日、新型コロナウイルスの影響を受けた2020年度と21年度の入域観光客数の減少が、県経済に及ぼす影響について試算した。コロナ禍が発生しなかった場合に比べ、名目の県内総生産(GDP)は年間3400億円以上減少するとされ、深刻な影響が改めて浮き彫りとなった。

 OCVBの試算では、21年度の入域観光客数の見通しは19年度比66・2%減の320万人、観光収入は19年度比65%減の2464億円と推計した。昨年末時点では約340万人と想定していたが、感染再拡大の影響で下方修正した。

 りゅうぎん総研は19年度の観光関連の数値を基に試算し、コロナ禍が生じなかった場合(標準ケース)と比較した。

 試算では、名目GDPは、21年度が標準ケース比3428億円減の4兆3147億円、20年度は同3414億円減の4兆3162億円となった。2年間で6842億円の損失となっている。

 物価変動を除いた実質GDPは両年とも6・6%減少する。沖縄国際海洋博覧会開催翌年の1976年度は不況に直面したが、その当時と比べても、今回のコロナ禍はより深刻と言える。

 20年度の就業者数は3万4240万人減、21年度は3万4390人減となり、完全失業率は1・9ポイント上がると試算した。従業員を休業させて雇用調整助成金の給付を受けている事業者が多く、一定数は失業者の数を抑えられているとみられる。

 20年度の税収(国税と地方税)は652億円減、21年度は654億円減と推計した。

 今回の試算では、外出自粛やイベント中止の影響などは反映していないため、実際の県経済への影響はさらに大きくなるとみられる。

 下地会長は「需要の回復がみられても、それを迎え撃つための企業体力が失われてきている。経済損失分全ての補填は難しくても、支援策は強化する必要がある」と話した。

 伊東社長は「産業構造の転換を図るべきだ。データの取り方も、これまでと違う手法でやる必要がある」と話した。両者が共同で試算を発表するのは初めて。 (中村優希)