「辺野古」に市民の思い交錯 名護市長に渡具知氏が再選


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
名護市長選の開票作業を進める市職員ら=23日、名護市の21世紀の森体育館(高辻浩之撮影)

 23日投開票の名護市長選挙で、現職の渡具知武豊さん(60)の再選が決まり、米軍普天間飛行場の辺野古移設を容認する市民からは「引き続き振興が期待できる」など、歓迎する声が上がった。移設に反対して抗議運動を続けるメンバーからは落胆の声が上がるなど、市民の思いが交錯した。

 「やった!」。辺野古交流プラザには地域の若者ら約30人が集まった。渡具知さんの当確が伝えられると安堵(あんど)の歓声が上がった。条件付き容認の立場で辺野古移設を受け入れてきた辺野古区選出の地元市議、宮城安秀さん(66)は渡具知さんと共に午後11時前に交流プラザに到着。「今後も区民らと一緒になって地域振興策、個別補償問題などに先頭に立って取り組んでほしい」と力を込めた。

 辺野古移設に反対して抗議運動を続けるメンバーらは、選挙結果に「悔しい」と落胆した。辺野古区の岸本洋平さん後援会事務所で開票を見ていた金城武政さん(65)は「残念でたまらない。私たちの力が足りなかった」と声を落とした。反対運動を続けてきた名護市の浦島悦子さん(73)は「本当に悔しいが若い岸本さんが今回立ち上がったことは大きい。新基地建設反対を訴え、4年後再び挑戦してほしい」と前を向いた。

 四半世紀にわたり移設問題に翻弄(ほんろう)されてきた住民の間には疲労感もにじむ。久志区の50代の男性は「賛成も反対もない。ただ地元をよくしてほしい」と言葉少なに話した。