名護市長選挙から一夜明けた辺野古は…落胆するゲート前、生活向上に期待する区民も


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新基地建設に抗議し座り込む市民ら=24日午前9時、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前

 【辺野古問題取材班】名護市長選で現職の渡具知武豊さんが、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対を掲げた新人の岸本洋平さんを退け、再選を決めて一夜明けた24日、沖縄防衛局は新基地関連工事を進めた。米軍キャンプ・シュワブゲート前で抗議する市民らは、選挙結果に落胆しつつも「容認の民意が示された訳ではない。工事を必ず阻止する」と前を向いた。移設問題に翻弄(ほんろう)される辺野古区からは落胆と期待、双方の声が上がり、さまざまな思いが交錯した。

 「戦いはここから 戦いは今から 頑張ろう」。ゲート前では午前9時、座り込む市民十数人の歌声が響いた。読谷村から駆け付けた山内慶一さん(72)は「涙が出るね」とぽつり。「基地被害に苦しみ続ける沖縄と今回の選挙結果。考えると涙が出る。勝ちさえすればと大量の資金(再編交付金)をつぎ込み締め付ける国のやり方は沖縄を愚弄(ぐろう)している」と語った。

 名護市の中村淑子さん(69)は、5千票の大差を「残念だ。コロナ禍の苦境で新基地への諦め感も増したのか」と思案しつつ「反対の民意は変わらない。目の前にぶら下げられた再編交付金を使うことは、百年後の世代に基地を残すこと。危険を受け入れるわけにはいかない」と阻止へ思いを新たにした。

 辺野古で移設反対運動を続ける西川征夫さん(77)は「岸本さんなら新基地建設を何とかできると思っていた。区民がもっと、この問題に関心を持つといいのだが」とショックをにじませた。同区の10代男性は、新基地建設に是非を示すのは難しいとしながらも「基地で働く人もいる。建設に反対する人は、基地が無くなった後のことを考えているのか」と疑問を投げ掛けた。

 渡具知氏を応援した辺野古青少年指導員の徳田真一さん(37)は「生活向上につながる政治をしてほしい」と期待した。