〈92〉起立性調節障害 体の不具合は小児総合診療科へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 体の不具合で悩んでいるが、原因が分からず、誰に相談したらよいのかわからない。そんな時は、小児総合診療科医に相談してみてはいかがですか?

 「なんだか不安になったり気分が落ち込んだりする」「体のあちこちが痛い」「体がだるい」「言葉にしたいけど、うまく説明できない」「体の不具合が本当にあることさえ、疑われているかもしれない」「自分がおかしいのか」。こんな思いを抱えていませんか。

 そういった悩みは時折、医療のサポートで解決できることがあります。例えば、学校には行きたいけれども、朝になると頭も身体も重くて、どうしてもベッドから起き上がれない。明日こそは!と寝る前に自分を奮い立たせるけど、目覚めると同じように起き上がれない。周りの友達と同じように生活できないことに焦りを感じ、「なまけ」だとか「甘え」と思われているかもしれないと怖くなる。

 こういった悩みの裏には、「起立性調節障害」という病気が隠れていることがあり、簡単な検査で診断ができ、治療方法もあります。

 また、歩けないほど足が痛い。動けないほどおなかが痛い。ただ、時によって痛みが少ないこともある。「気持ちの問題」だと言われることさえある。こういったケースは、背景に痛みの原因となるさまざまな病気や心理的な問題が影響し合っていることがあります。

 他にも、摂食障害(たくさん食べてしまう、食欲がないなど)や睡眠障害(寝付けない、ぐっすり寝られないなど)といった、心と体の問題が複雑に絡み合うことで引き起こされる症状は数多くあります。

 コロナ禍において、子どもや若者の心身に特別な配慮が必要となりうることは昨今、学会や研究機関からも報告されています。その中で、外出自粛などで、運動量や友達とのコミュニケーションが減ったり、新型コロナウイルスへの恐怖心をあおられたりすることが、子どもや若者たちの心身の不調をより際立たせることが、分かってきています。

 悩みの原因を医学的に評価し、解決を図っていくことが、皆さんの助けになるかもしれません。一人で抱え込まず、一緒に解決していきましょう。

(利根川尚也、県立南部医療センター・こども医療センター 小児総合診療科)