視覚障がい者に声で情報 音訳ボランティア「そよかぜ」本格始動


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活動に意欲を見せている(前列左から)神山洋子さん、宮良勝子さん、比嘉美代子さん、安座間伊津子さん、(後列左から)助川仁子さん、花城千恵子さん、与儀邦子さん、中村初子さんと玉城涼子司書=1月14日、沖縄市立図書館

 【沖縄】沖縄市立図書館(浜比嘉誠人館長)を活動の場に待望の音訳ボランティア「そよかぜ」が誕生し、さっそく本格的な活動に取り組んでいる。図書館での対面朗読の定期開催のほか、市内各自治会での“出前朗読”のアイデアが出されるなど、会員の熱い思いに期待が寄せられている。

 音訳ボランティアは視覚障がい者や活字を読むことが困難になっている人たちに新聞、書籍、雑誌、広報など、日常生活に必要な情報を写真や図表なども含めて「声音」に換えて伝える。テープへの録音、CD化など活動は幅広い。

 「そよかぜ」は20年1月、市社会福祉協議会の養成講座の受講生を中心に結成され、会員は10人。直後から新型コロナウイルスの感染拡大で月例活動が影響を受けたが、細心の感染対策をしながら発声法や情報を正確に伝える技術訓練を20年度は8回、21年度は6回重ね、対面朗読の要望に応えられように文芸書、沖縄の民話を中心に多くのリストを用意している。

 会員は30代から70代で、職歴はさまざま。共同世話役の与儀邦子さん(66)、助川仁子さん(52)は「会員の熱意が支えている。そよかぜのように作品などを届けたい」と声を弾ませる。

 安座間伊津子さん(71)は「障がい者らのお役に少しでも立ちたい」と参加の動機を語る。また市社協のグループでも活動し、那覇市から参加している宮良勝子さん(71)は「対面朗読でありがとうと言われるのが何よりも励みになっている」と表情を緩めた。月例会は会員の近況報告やユンタクもあり、いつも和やかムードという。

 同図書館では現在、障がい者へのサービスとして「LLブック」「音声デイジー」「マルチメディアデイジー」など点字の本、大活字本、拡大読書機、さわる絵本、読書サポート室など利便性向上のため設備の充実にも力を入れている。

 「そよかぜ」の活動をサポートしている担当職員の玉城涼子司書は「音訳ボランティアは待ち望んでいた活動。感謝しています。一人でも気軽に活用してほしい」と呼び掛けている。

 会員も募集中。問い合わせは(電話)098(929)4919(同図書館)。
 (岸本健通信員)