沖縄中部地区の経済、2022年はどうなる? コザ信金の前屋氏が読み解く


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
前屋誠(コザ信用金庫専務理事)

 新型コロナウイルス感染拡大から2年が経過する。昨年10月に緊急事態宣言が解除されたが、年始からオミクロン株が猛威を振るい、企業の活動は再び制約を受けている。本島中部地区を中心に継続的に企業動向を観測しているコザ信用金庫の前屋誠専務理事に、今年の景気動向について分析を寄稿してもらった。

 新型コロナウイルス感染症が流行してはや3年目を迎えます。新年早々、沖縄県でオミクロン株が猛威を振るっていますが、コロナと戦ってきた過去2年間の経験も踏まえ、今年はコロナの感染拡大を抑えつつ、経済活動を回していく年にと期待する人は多いと思います。

 3回目以降のワクチン接種や飲み薬の開発が待たれるほか、次々と出現するコロナ変異株に応じた感染予防策の下で、日常生活や経済活動を復活させる「ウィズコロナ」の取り組みが求められます。

 波乱の年明けとなりましたが、今年の景気はどうなるでしょうか。コザ信用金庫が、中部地区を中心とする企業や事業主の方々に昨年暮れに実施したアンケート調査によれば、今年の景気はマインド的には「昨年に比べてかなり回復し、コロナ前の景気に近づく」見通しとの結果になっています。

 コロナ禍が始まる以前の2年前(2019年12月調査)、1年前(20年12月調査)、今回(21年12月調査)を比較すると、景気が「良い」と「やや良い」の合計の割合は、25%(2年前)→9%(1年前)→22%(今回)で、コロナ前に近くなっています。売上増加を見込む先の割合は、41%(2年前)→27%(1年前)→47%(今回)でコロナ前を上回っています。

 景気が上向く時期についても、今回は「6カ月以内」と「1年後」の合計が56%に上り、過半数が今年中の景気回復を見込んでいます。1年前の調査で「2年以上先」と「見通しなし」の合計が51%に上っていたことに比べて、この1年間で景気回復の期待感が大幅に高まっていることがうかがえます。

 一方で、景気が「悪い」と「やや悪い」の合計でみると、19%(2年前)→62%(1年前)→36%(今回)といまだコロナ前の2倍近くに上っており、厳しい見方も相応にある点にも留意が必要です。

 景気回復への期待が高まる中で、今年は「ウィズコロナ」の下で経済再生に向けた正念場の年になります。過去2年間の多額に上る「コロナ融資」の返済もやがて始まります。企業や事業主の方々にとって、業績を回復させつつ借り入れの返済も求められます。コロナ禍でも慢性的な人手不足が続いているほか、原材料の値上げも続く中で、借入の返済が円滑に行われるよう、金融機関も引き続き企業や事業主の方々をしっかりと「伴走支援」していきます。明るい復帰50周年にしたいものです。


 まえや・まこと 1959年3月生まれ、東京都出身。早稲田大卒。82年に日本銀行入行。調査部門を長く経験。2015年にコザ信用金庫入庫。理事総合企画部長を経て、19年6月から専務理事。