企業の人手「不足感」薄れる 「適正」が過半数に おきぎん経済研調査


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 おきぎん経済研究所(東川平信雄社長)は28日、県内企業の人材確保についての調査結果を発表した。人材の過不足感について、「現在、今後ともほぼ適正が続く見込み」と答えた企業は51・5%と過半数を占めた。新型コロナウイルス感染症の影響で需要が減少しており、同研究所が2017年実施の類似調査との比較では、人手不足感が緩和していると考えられる。

 「現在不足している」は17・7%、「現在は不足していないが今後不足の懸念がある」は29・8%、「現在過剰である」と回答した企業は1・1%だった。

 17年調査では、見込みも含めた不足感が全体の58・9%を占めた。宿泊・飲食店・遊技場などの「その他サービス業」では不足感が前回の84・4%から今回は45・4%と39・0ポイント緩和した。その他サービス業は不足人材を雇う際の雇用形態として正社員以外を検討する割合が47・4%と最も高いことから、同研究所では「新型コロナの影響を受け、主に正社員以外の人材不足感が緩和している」と推測している。

 業種別では、「不足」または「今後の不足に懸念がある」と回答した企業は、土木業で75・0%、情報通信サービス業で66・7%、建築業で56・6%だった。同研究所では「専門的、技術的な技能の必要性が高い業種で不足感が強い」と分析した。

 役職や階級などで分析すると、役員クラスは「適正」が93・3%、管理職クラスは同84・9%と不足感が少ない。一方で特定の資格を有する専門的・技術的職員は不足感が合計28・5%、一般職員では同27・2%だった。

 各企業からは「人員の流失が多く、確保がきちんとできていない。給与や福利厚生面などの見直しの余地がある」(美容師)、「コロナ禍による業況の乱高下で採用判断が難しい」(卸売業)、「忙しさを分担できず(仕事を)できる人に業務が集中し、負担から離職した」(建築業)などの意見が出た。

 調査は21年12月に実施。県内企業571社から回答を得た。

 (沖田有吾)