出来たてアチコーコー300食 在来大豆「青ヒグ」でゆし豆腐づくり 那覇・繁多川


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伝統農具、クルマ棒で脱穀体験をする園児=2021年12月4日、那覇市繁多川の市繁多川公民館広場

 【那覇】沖縄在来の大豆「青(オー)ヒグ」を使った豆腐が味わえるイベント「豆腐の月」(繁多川自治会主催、那覇市繁多川公民館共催)がこのほど、市繁多川公民館広場で開催された。会場では、石臼で大豆をひく体験や豆乳を絞る体験、伝統農具を使った脱穀体験など、昔ながらの手法で作る豆腐作り体験があった。出来たてアチコーコー(熱々)のゆし豆腐、約300食が振る舞われた。

 会場には、近隣の保育園やこども園の園児らが訪れ、石臼を力いっぱい回して豆乳を作り、豆乳を絞って大豆が形を変えていく姿を楽しんでいた。また、伝統農具のクルマ棒を使った脱穀にも挑戦した。石臼ひきを体験した与座のえるちゃん(5)は「ぐるぐる回すのが楽しかった」と話した。

中高校生のジュニアボランティアのサポートを受けて石臼を回す園児

 会場では、来場者らが作った豆乳を炊き、作られたゆし豆腐が提供されたほか、那覇市繁多川の永吉豆腐加工所の協力を得て、青ヒグを使ったゆし豆腐もあった。来場者はそれぞれの豆腐の味に舌鼓を打っていた。地域活性につながるイベントだという地元住民の宮城ヨシ子さん(82)は「幼い頃の体験や、この豆腐の味を、地元を離れたとしても思い出し、育った場所へ戻ってくるでしょう」と目を細めた。

 イベントは、戦後途絶えていた沖縄在来の大豆「青ヒグ」を復活させたことから始まり、今回で14回目。繁多川自治会が毎年12月を「豆腐の月」と定め、イベントを開催している。青ヒグの復活は2005年に行われた繁多川公民館主催の講座が契機となった。県農業研究センターから青ヒグの種を数粒譲り受け、地域住民らが、あたいぐゎー(家庭菜園)で栽培して種を増やしてきた。繁多川の昔豆腐の復活の機運を高めて2007年には繁多川自治会と繁多川公民館が連携し「あたいぐゎープロジェクト」を立ち上げた。クルマ棒など豆腐作りに使用する伝統農具も復活させ、イベントは地域活性にも一役買っている。

(中川廣江通信員)