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「沖縄タウン」鶴見の街づくりに奔走 おきなわ物産センター社長・下里優太さん<県人ネットワーク>


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おきなわ物産センター社長の下里優太さん

 サーターアンダギーの甘い香りが漂い、三枚肉にテビチ、ポーク缶、民芸品が並ぶ店内は、沖縄のまちやぐゎーに迷い込んだような錯覚に陥る。横浜市鶴見区の鶴見沖縄県人会館の1階に店を構える「おきなわ物産センター」は、県出身者らの食や生活を支える。父親の跡を継ぎ、2016年に同センターの社長に就任した。

 「将来は跡を継いでほしい」。父からこう言われて育った。沖縄で高校を卒業後、神奈川県内の大学に進学。大学で経営学を学びながら、父親の仕事を手伝ってきた。卒業後はスーパーに就職、小売業のノウハウを学んだ。「父は本場の味にこだわり、(沖縄県民の)台所と直結する商品を扱うことにこだわってきた。それを大切にしていきたい」と語る。

 本業の小売・卸販売業とともに、鶴見の街づくりにも力を入れる。沖縄やブラジルの食材店、飲食店などがある県人会周辺は、地元で「沖縄タウン」と呼ばれている。その「沖縄タウン」も後継者不足や新型コロナウイルス禍の影響で、閉店する店も出てきているという。「横浜の中華街のようなイメージでここを訪れても、イメージと違うと言われてしまうかもしれない」と危機感を募らせる。

 2016年からは沖縄の文化と食を発信する「鶴見ウチナー祭」を開催するほか、鶴見を舞台にした映画の制作にも携わった。現在、映画第2弾を計画中だ。

 鶴見は4月から放送されるNHK朝の連続テレビ小説「ちむどんどん」の舞台の一つとなっている。県人会や商店街、鶴見区でつくるプロジェクト実行委員会が昨年発足し、委員長に就いた。「鶴見は沖縄と南米の文化が交差する魅力的な街だ。放送を契機に鶴見を発信し、ブームにつなげていきたい」と街への熱い思いがにじませた。
 (問山栄恵)


 しもざと・ゆうた 1981年生まれ、那覇市出身。沖縄尚学高を卒業後、文教大で経営学を学ぶ。スーパー勤務後、父親の会社である「おきなわ物産センター」に就職。2016年、社長に就任。21年には沖縄のエンターテインメントを扱う会社「リバーストーン」を設立。