九州芸術祭文学賞、金名さん佳作 沖縄地区優秀作「明治通りに打ち上げられたクラゲ」


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 第52回九州芸術祭文学賞の最終選考会が1月27日、東京都内を拠点に一部でオンライン形式を導入して開かれ、沖縄地区優秀作の金名(かねな)サメリさん(38)=那覇市=の「明治通りに打ち上げられたクラゲ」が佳作に選ばれた。最優秀作は長崎地区優秀作の白石昇さん(52)の「足の間」だった。主催者の九州文化協会が31日に発表した。

 九州・沖縄から計269点の応募があった。金名さんの作品を含む地区優秀作11編は作品集に収録し販売する。

 表彰式は3月19日午後1時から熊本県のくまもと県民交流館パレアで開かれる。

 同協会によると、金名さんの作品について選考委員からは「候補作の中でも異色作。全体が象徴性で貫かれていて明瞭ではない。それを最後まで書き切ったところがすごい」「ユニークでなめらかでリズムがある。もう少しいろいろな仕掛けをして読者に分かりやすくしてほしかった」などの意見が出た。

 金名さんは「佳作受賞の連絡を受けて驚いている。復帰50年という節目の年に沖縄文学の諸先輩方が受賞されている、伝統ある賞を頂き本当にうれしい。これを励みに今後も沖縄という大きくて複雑なテーマを軸に小説を書いていきたいと思う」とのコメントを寄せた。 (古堅一樹)