「あちこーこー」島豆腐を救え…熱い思い「蓄熱材」を開発 那覇の老舗企業


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オリジナル商品「蓄熱材N」を手にする澤田左行会長(左)と隆司社長=那覇市上間のナニワ商事

 【那覇】豆腐製造機販売などを手掛ける那覇市上間のナニワ商事(澤田隆司社長)が、あちこーこーのゆし豆腐や島豆腐を納品する際に豆腐の温度を保つため、オリジナル商品「蓄熱材N」を昨年6月に販売した。澤田社長の「沖縄の食文化を守りたい」という熱い思いが商品開発につながった。

 昨年6月から国際的な食品安全管理基準のHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が義務化され、豆腐の管理基準が厳しくなった。同社は2020年の夏ごろから蓄熱材の商品開発に取り組み、義務化された昨年6月1日から商品の販売を始めた。

 澤田社長は「島豆腐は幼い頃から当たり前のように食卓に並んでいる。豆腐屋が年々減少して、廃業した業者も少なくない。管理が義務化されることで豆腐屋が苦労するだろうと思い商品開発に取り組んだ」と強調した。

 商品は熱湯で温めて繰り返し使用でき保温性に富んでいる。一方で、包材の耐久性に改良の余地があるという。課題を克服するため、改良に取り組んでくれるパートナーや情報提供を呼び掛けている。澤田社長は「今は改良点があるので豆腐業界で精いっぱいだが、将来的に豆腐業界以外にも役立てる商品にしたい」と目を輝かせた。

 ナニワ商事は現会長の澤田左行さんが1961年に創立し、創業60年の実績を誇る。1992年に法人化し、息子の隆司さんが受け継いだ。商品の問い合わせや情報提供などはナニワ商事(電話)098(833)3440。

 (中川廣江通信員)