沖縄本島と離島に大容量光ケーブル 携帯3社が来夏敷設、国内初の共同整備


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大容量光海底ケーブルを共同で整備すると発表した沖縄セルラー電話の山森誠司専務(左)とNTT西日本沖縄支店の古江健太郎支店長=8日、那覇市泉崎の琉球新報社

 沖縄セルラー電話(那覇市)とNTT西日本(大阪)、ソフトバンク(東京)の3社は8日、共同で沖縄本島と久米島、宮古島、石垣島を結ぶ大容量光海底ケーブルを整備すると発表した。3社による共同の設備整備は県内では初。今後、第5世代(5G)移動通信システムなど通信の高速化、大容量化が進むことに備え、より安定的な通信環境の実現へ日ごろ競争するライバル企業同士がタッグを組んでインフラ整備に当たる。

 沖縄本島と久米島、宮古島、石垣島を総延長約1010キロの海底ケーブルで環状につなぎ、3社共同で利用する。2023年夏の完成を予定している。現在、沖縄本島―久米島間と宮古島―石垣島間には、県とNTT西が保有する約290キロの既設ケーブルがあり、これを3社で活用する。

 本島―石垣島間と久米島―宮古島間には、沖縄セルラーが中心となって約720キロの光海底ケーブルを敷設する。波長の異なる複数の光信号を1本の光ファイバーに同時に乗せることで大容量化を実現する「光波長多重伝送方式」を採用し、60テラビット毎秒以上の設計容量を実現する。今後、6Gへの移行を見越しても対応が可能という。災害への対応力も強化される。

 8日、共同整備の報告で琉球新報社を訪れたNTT西の古江健太郎沖縄支店長は「今後さらなる大容量化を見据え、インフラを共同で構築できるメリットは大きい。離島の皆様に安心して使ってもらうための土台をつくることができる」と話した。沖縄セルラーの山森誠司専務は「共同で整備することでコストをかなり削減でき、結果的にお客様への(サービス提供価格として)恩返しになる」と話した。

 共同整備に関する基本協定は1月12日に締結した。(沖田有吾、写真も)