農作物の残さから超吸水素材を開発 EFポリマーが環境スタートアップ最高賞に


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EFPolymerが生ゴミを原材料に開発した有機超吸水性ポリマー(提供)

 農作物の残さから作った自然由来の「超吸水性ポリマー(SAP)」を研究、開発するEFPolymer(EFP、恩納村、ガルジャール・ナラヤン創業者兼CEO=最高経営責任者)がこのほど、環境省が表彰する2021年度「環境スタートアップ大賞」の最高賞に当たる環境大臣賞を受賞した。表彰式は、3月9日に東京国際フォーラムからオンラインで開催される。

 ガルジャール氏は「持続可能な農業を目指して活動している。生ごみなどの廃棄物を有効活用し世界的な農業問題を解決したいと考えている。受賞は活動をさらに加速させてくれると確信している」とコメントした。

 EFPが開発したポリマーは粉末状で、1グラムで100ミリリットルの水を吸収することができる。種や苗と一緒に植え付けても、土壌や作物に影響を与えないという。同ポリマーを畑にまいて使用することで、灌漑(かんがい)用水や肥料の必要量を減らすことができ、作物の収穫量増加や土壌の改良効果も見込まれる。同ポリマーはまいてから約1年間で、微生物の力によって完全分解される。

開発したガルジャール・ナラヤン創業者兼CEO(提供)

 これまで、インドや日本を中心とした3千以上の農家に同ポリマーを提供しており、農業における水不足などの課題を解決してきた。

 EFPは、2018年にインドで設立し、野菜や果物の生ごみを原材料とした有機超吸水性ポリマーの開発に取り組んできた。19年に沖縄科学技術大学院大学(OIST)のスタートアップアクセラレータープログラムに採択され、20年に日本で会社を立ち上げた。

 環境スタートアップ大賞は、2020年度に環境省が環境分野の新興企業を支援するために創設した賞。気候変動対策や資源循環型社会など、環境保全に資する幅広い領域を対象とする。

EFPolymerが開発した有機超吸水性ポリマーを使用する農家=インド、2021年8月(提供)

 同社は「今後も世界中の農家が抱える諸課題の解決に取り組んでいきたい。有機SAPを活用し、農業用途以外でも、おむつやナプキンなどの衛生用品の開発や普及をより一層強化していく」とコメントした。 (呉俐君)