辺野古工事は「新基地」と官房長官 政府は「代替施設」 見解に食い違い


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記者会見する松野官房長官=15日午前、首相官邸

 【東京】松野博一官房長官は15日午後の会見で、米軍普天間飛行場の移設先として政府が進める、名護市辺野古のキャンプ・シュワブでの埋め立て工事について、「新基地建設」との認識を示した。従来の政府見解では、同工事について、同飛行場の移設のための工事と位置づけていた。

 松野氏は、同日午後に渡具知武豊名護市長と会談しており、記者団からこの会談の内容について質問があった。松野氏は「市長就任のあいさつと基地負担軽減や街作り支援に関する要請があった」と述べた。

 会談の中で、名護市を含む本島北部の振興に取り組む政府方針を説明したとも明らかにし、「(名護市には)辺野古の新基地建設などで大きな負担をお願いしている」と述べ、「新基地」と発言した。

 政府は、これまで名護市辺野古で進める工事について、「日米同盟の抑止力の維持」と「普天間飛行場の危険性の除去」のための「唯一の解決策」との説明を繰り返しており、実質的な新基地建設である点には言及していなかった。

 この見解について、記者団から従来の政府見解との食い違いについて指摘があり、「新基地建設という認識なのか」と再度質問があった。

 松野氏は「辺野古移設が唯一の解決策であるという考え方には変わりはない」としたが、工事についての認識への明言は避けた。その上で、「詳細については防衛省にお問い合わせいただきたい」と述べるにとどめた。

 防衛省は、これまで辺野古新基地について普天間飛行場の「代替施設」と位置づけており、同省幹部も公の場でこの前提に基づいた発言を繰り返している。

 2016年2月には、南大東村で開かれた沖縄防衛局主催の講演会で、当時の防衛省大臣官房審議官が「新基地」との見方を否定した上で、「現在の普天間飛行場の面積の約3分の1という規模になる」などとして「基地負担軽減」のための工事である点を強調。同審議官は15年12月の熊本市の講演でも同趣旨の見解を述べている。
 (安里洋輔)