目指せ「和牛五輪」 沖縄の高校生奮闘 プロ招き勉強会 牛体測定、日々の信頼構築も


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大切に育てている雌牛に触れ「日々の積み重ねを大事にしたい」と語る仲座清也さん(左)と新城祐斗さん=15日、豊見城市の県立南部農林高校

 今年10月に鹿児島県で開催される第12回全国和牛能力共進会(全共)。「和牛のオリンピック」と呼ばれる同大会で、今回から新たに設けられた「高校および農業大学校」枠への出場権を巡り、県内の農林高校生が奮闘している。15日、県立北部農林高と県立南部農林高は獣医師や全国和牛登録協会の関係者を講師に迎えて勉強会を開き、牛の手入れや調教法など技術指導を受けた。

 北部・南部農 プロ招き勉強会

 全国の優秀な和牛を一堂に集めて改良の成果を競う全共は、5年に1度全国持ち回りで開催される。全共で上位入賞すれば県産肉用牛のブランド価値が躍進するため、沖縄県も総力を挙げて品質向上に努めている。

 南部農林高校では、生物資源科2年の仲座清也さん(17)と新城祐斗さん(17)が勉強会に参加し、全国和牛登録協会の工藤太介事務局長や小林和喜さんから牛体の測定方法などを学んだ。家畜診療に精通する獣医師の大城周英さんからは、牛の調教方法や信頼関係の築き方なども教わった。

 仲座さんは、首の後ろにある牛の背中で最も高い部位「き甲」より、左右の腰角間と正中線との交差点部分にある「十字部」の方が高いかを確認するなど、牛体が将来大きくなるのかの見極め方が特に勉強になったという。「まずは県予選を勝ち抜けるように、一つでも多くを学び、実践したい」と意気込んだ。

 毎日の餌やりや牛との触れ合いが何よりの楽しみだという新城さん。見分け方だけでなく、牛とどうコミュニケーションを取り、信頼関係を築くべきかを学べたことが収穫だったと振り返り「毎日の餌やりや牛舎の掃除を丁寧にしたい」と気持ちを新たにした。

 他県の教育指導も行ってきた工藤事務局長は、島しょ県の沖縄から県外で開催される大会に出品する際には、特に牛の体調管理が重要になると助言した。その上で「沖縄でも確実に良い牛が育っている。生徒たちには日頃から牛の体調や様子を細かく見極め、本番に臨んでほしい」とエールを送った。

 県では7月に最終選考会があり、各部門の県代表者を決定する。
 (当銘千絵、写真も)