瀬長、阿波根の言葉「今、意味を持つ」 「命どぅ宝」企画・出演した佐々木さん


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演劇「命どぅ宝」への思いを語る劇団文化座の佐々木愛代表=11日、那覇市泉崎の琉球新報社

 設立80周年を迎えた劇団文化座の特別演劇公演「命(ぬち)どぅ宝」を企画、出演した女優の佐々木愛代表に公演を終えて作品への思いを聞いた。 (聞き手・田中芳)

 ―作品を企画したきっかけは。

 「今から15年くらい前、北京に芝居の公演で行ったが、革命家のチェ・ゲバラが慕われているのを感じてとても意外に思った。日本で民衆の心に残っている人は誰だろう、と考えたら瀬長亀次郎さんと阿波根昌鴻(しょうこう)さんの2人を思った。芝居にするには2人の接点がないといけない。阿波根さんが瀬長さんに送った手紙が見つかった、というのを目にして芝居ができると思った」

 ―1950年代の「島ぐるみ闘争」を題材にした理由は。

 「復帰前後の一番大変だった時期は、辺野古での座り込みの抗議活動につながる原点だと思う。50年代を芝居にした方が良いと思い、阿波根さんや瀬長さんの本を読み、当時の時代でも十分、現代の日本に必要な言葉だと感じた。今また世界が緊張感に包まれて命が脅かされている人々がいる。今、2人の言葉というのはすごく意味を持っているのではないか。芝居をやる意味があるような気がして、少し誇りを持ってできると思う」

 ―上演を終えて。

 「文化座は満州(現中国東北部)で敗戦を迎えた。母が広島や沖縄に対して心を寄せていたので私も自然にそれを見て、さまざまな角度で沖縄の芝居を上演してきた。沖縄の方たちの人間力は学ばなくてはいけない。私の演じる、おばぁはあれだけ大変な思いをしたのに元気な役だ。私はむしろ沖縄の皆さんが『これでよし』と言ってくださったら、全国で上演してもっと沖縄の良さを届けたい。結論を出すお芝居もあるが、私たちはそうではない。何かその人の刺激、感性を揺さぶることができたらうれしい」