地域猫の不妊手術、26市町村が助成 基金活用や独自予算も きょう猫の日


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ
TNR事業で地域に戻した猫に餌をあげるよなばるネコの会のメンバー=20日、軽便与那原駅舎展示資料館前

 野良猫を増やさないため、飼い主のいない猫に不妊去勢手術を施し、元の場所に戻す活動(TNR)が各地で広がっている。県内では26市町村が手術費用を助成している。そのうち23市町村はどうぶつ基金(兵庫県)から猫の無料不妊手術チケットの分配を受けている。石垣市と久米島町はふるさと納税を活用して手術費用を補助し、那覇市は独自予算で対応している。

 野良猫問題の背景には飼い主による遺棄や野良猫の繁殖がある。猫は1回で約6匹出産し、年に2~4回出産が可能。繁殖スピードが速い。ふん尿や鳴き声など、市町村には苦情が寄せられている。

 市町村は法改正により、犬や猫の引き取りを拒否できるようになった。行政による野良猫の抑制策の一環としてTNR事業が拡大している。

 次年度以降、どうぶつ基金を活用して不妊手術事業を検討しているのは、粟国村、西原町。伊平屋村も検討中。

 天然記念物のイリオモテヤマネコがいる西表島では、竹富町猫飼養条例で、飼い主が確認できるマイクロチップの装着、去勢避妊手術、ワクチン接種を義務付けている。

 世界自然遺産登録地がある国頭、大宜味、東の3村では、野良猫が希少動物に危害を加える恐れがあるとして「ネコの愛護及び管理に関する条例」を制定。飼い主が繁殖制限に努めることやマイクロチップを埋め込んで管理することなどを定めている。

 3村では村で保護した野良猫を譲渡している。大宜味村、東村は譲渡前に手術を実施している。

 那覇市は独自に施設を持ち、保護や収容を担う。一般財源を使い、飼い主のいない猫の不妊去勢手術を実施している。
 (高江洲洋子まとめ)


【動物愛護管理法改正と殺処分】
 法改正によって自治体は犬や猫の引き取りを求められた場合、相応の理由がないと拒否できるようになった。ただし、所有者不明で周辺に被害を及ぼす可能性がある場合などは例外として引き受けている。法の改正やボランティアらによる飼い主探しの広がりなどの効果で県動物愛護管理センター、那覇市による猫の殺処分数も減少。2013年度の県センターの殺処分は2732匹、那覇市は272匹だったが、20年度はセンターでは239匹、那覇市は43匹だった。