【石垣】27日投開票の石垣市長選は、新人で前市議の砥板(といた)芳行氏(52)と、4選を目指す現職、中山義隆氏(54)=自民、公明推薦=が立候補した。市内への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票やゴルフリゾート開発への考え方で、両者の主張の違いが鮮明となっている。 (西銘研志郎)
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<陸自配備住民投票>砥板氏 市長提案で実施公約 中山氏 投票自体は否定せず
防衛省が石垣市平得大俣地区で整備を進めている陸自駐屯地は、2022年度内の開設が予定されている。
陸自配備計画を巡っては18年に、市民有志が市自治基本条例(当時)に規定されている有権者の4分の1を上回る1万4千筆余りの署名を集め、市長の中山氏に住民投票条例の制定を求めた。市側は条例案を市議会に提出したが、当時、与党市議だった砥板氏らにより否決された。
今回の市長選で両候補の考え方が最も明確に分かれるのが、住民投票に対する考え方だ。
市議会野党の革新勢力と共闘する砥板氏は「配備計画は島を二分する大きな議論となり、今も解消されていない」として従来の立場を一転させ、市長提案による住民投票実施を公約とした。住民投票の結果を尊重し、市民合意のない配備強化には反対する考えだ。
中山氏は「国防や安全保障に関わることを一地方自治体の住民投票で決定することはふさわしくない」とし、市長提案は実施しない考えだ。自身として陸自配備を認める立場をとってきた一方で、住民投票自体は「市長提案以外の方法もある」と否定しない。
<ゴルフリゾート開発>砥板氏 環境負荷懸念し反対 中山氏 観光の質向上へ推進
ゴルフ場がない石垣市では、市街地からほど近い前勢岳(まえせだけ)北側で民間によるゴルフリゾート開発計画がある。事業面積127.4ヘクタール、大型ホテルも併設する予定だ。
原則転用できない農地が開発予定地に含まれていたことから、計画は遅れていた。しかし昨年、「地域未来投資促進法」を活用した市の土地利用調整計画が県知事から承認を得られた。現在は、事業者の事業計画を県が審査している。
一方、ラムサール条約にも登録された予定地近くの「名蔵アンパル」の環境に悪影響を与えるとして、地元の自然保護団体が計画を認めないよう主張している。
砥板氏は、市内にゴルフ場は必要としながらも、現計画を「環境への負荷が大きいと懸念している」と見直す姿勢を示す。環境影響を調査する市の機関を立ち上げることを公約に掲げている。
中山氏は、質の高い観光の実現にはゴルフリゾートが不可欠との立場から、計画を推進していく考えだ。環境への懸念については「負荷はギリギリまで減らされている」と主張している。