辺野古新基地建設、埋め立て加速へ土砂の搬入増、N2護岸にスパット台船


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新たにN2護岸の工事が始まった新基地建設工事現場=2021年8月27日午後3時52分ごろ、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向け、沖縄防衛局は22日、有識者を集めた環境監視等委員会を同局で開き、「N2」と呼ばれる護岸で土砂の搬入方式を変える方針を示した。海底に柱を打ち立てて固定する「スパッド式台船」を使う。着岸できる土砂の陸揚げ船の数が現在の1隻から2隻に増える。埋め立てを加速させる狙いがある。

 別のK8護岸については、約300メートルの距離に生息するサンゴ類を別の場所に移植せずに延長工事を始める方針も示した。防衛局は当初、サンゴ類なども移植した後で延長工事に着手する計画だったが、県がサンゴ類の移植を不許可にしたことを受け、独自のシミュレーションを用い、移植せず工事をしても問題ないと結論付けた。
 

 防衛局がN2護岸で開始する予定のスパッド式台船を使った土砂陸揚げを巡っては、別の護岸で導入した際に県が埋め立て承認申請の関係書類に記載がないとして中止するよう指導してきた。防衛局は県の指導に応じず、この方式を続けている。

 設置したスパッド式台船に、土砂を積んだ「ランプウェイ台船」を2隻同時に係留する。土砂を船からダンプトラックに移し替えて埋め立て中の海域に陸送する。スパッド台船設置のために、海底に生息する生物を別の場所に移動させた。

 防衛局の担当者は「埋め立て承認申請書に沿っている。環境への負荷は現在と変わらないと考えている」と述べた。委員会からも特段の指導・助言は出なかった。

 (明真南斗)