復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉2月19日「〝有事駐留〟方式も検討/米国防総省当局者が言明」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 

 1972年2月19日の琉球新報1面トップは、ドル―円通貨切り替えに伴う賃金の換算レート問題で1ドル=360円換算を求めている労働組合の動向に関連して「同盟スト、峠を越す/琉銀労組など妥結/沖銀決裂 深夜団交で煮詰め」と労使交渉の行方を伝えている。銀行の対応への日本政府から支援として「民間金融を救済/貸し倒れ引き当て金限度額/本土並み引き上げ」との方針を紹介している。

 復帰後の沖縄の基地の取り扱いに関して、米国防総省当局者の匿名談として「〝有事駐留〟方式も検討」とする共同電を掲載している。続く見出しでは「沖縄の戦略価値不変/アジアの安全保障 日本の積極的参加を」「防空管制システム 自衛隊、沖縄に導入必要」と、米国防総省として日本側の関与増大を求めている姿勢を紹介している。

 復帰に伴うひずみに関連しては「軍雇用員千六百人を解雇/全軍労/長期ストの構え」との見出しで、在沖米軍基地の雇用員の解雇問題が大きく掲載されている。

 

 

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。