1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。
1972年2月28日の琉球新報1面トップは、横枠の全幅を使って「米、台湾と東南アから最終的に撤退/米中共同コミュニケ発表」と大きく白抜きの見出しで米中共同声明の内容を伝えている。記事の冒頭は「米中新時代が始まった。米中共存への幕あけである」と高揚感を持った文体で始まっている。続けて「見解と体制が異なるにもかかわらず、平和五原則に基づく平和共存への熱意がみなぎっており、今後の国際情勢とアジアの平和にとって大きな影響を与えることになろう」と見通している。
中身の詳報では「米中首脳会談は、米国が最終的には台湾から軍事力と基地を撤収することを約束するという歴史的な結論を出して閉幕した」と歴史的意義も強調した。台湾に関する内容として米国が約束した内容は「①台湾は中国の一部②台湾問題は中国人自身で解決③最終的に台湾のすべての米軍基地は撤退④同地域での緊張緩和に伴い徐々に軍事力を引き揚げる」ことを保証するものだと説明している。
この米中関係の流れが日本に及ぼす影響についても言及しており「さらに民間での関係は米国より進みながら、台湾問題で踏み切れず、日中国交回復に踏み出せずにいる日本に与える波紋は大きく、ポスト佐藤を控えた政局に新しい材料をもたらすことになった」と記している。
米国側の見方についても「予想以上の進展/日本などへのショック懸念/ワシントン」と報じている。
さらにそばには大型の解説記事も「台湾問題は事実上解決か/中国周辺諸国に大きな衝撃」と掲載している。
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琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。