卒業式でサプライズの傘アート 披露する予定だった学園祭が中止…在校生がひそかに準備


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在校生から贈られた7色の傘アートに見送られ学びやを巣立つ卒業生=1日、宜野座高校

 【宜野座】県立高校や一部の特別支援学校高等部で卒業式が行われた1日、宜野座高校(上地さとみ校長)では、卒業生79人に対し在校生から傘約180本を使ったアート作品がサプライズで贈られた。コロナ禍で学園祭が中止となり、卒業生が実現できなかった傘アートを後輩たちが引き継いだ。門出を彩る7色の傘に見送られ、卒業生はそれぞれの道へ旅立った。

 傘アートは昨年9月の学園祭で生徒会の企画として3年生が発案。SDGsを意識し「一度だけで傘を捨てるのではなく、今年を皮切りに毎年作品を拡大しよう」と準備を進めたが、直前で学園祭の中止が決まった。

 体育祭に遠足、学園祭…コロナ禍で行事が次々中止となる状況に生徒らは落胆に包まれたが、1・2年の生徒会役員23人が「できる事はある」と、卒業式に向けて企画をひそかに引き継いだ。

 会場となった体育館の天井に赤、黄、青など7色のビニール傘が奥行き約40メートル、幅約15メートルに渡りずらりとつり下げられ、式典を彩った。在校生全員で体育館窓に設置したステンドグラスアート「祝 卒業おめでとう!羽ばたけ77期生」の文字も披露され、会場から拍手が湧いた。

 学園祭で傘アートを発案した前生徒会長で卒業生の仲本妃那(ひな)さん(18)は「学園祭を体験できていない在校生に伝えられず心残りだった傘アートが形になっていて感動した。挑戦する心を持ち続けてほしい」と後輩にエールを送った。

 仲原凜々子生徒会長(17)は「先輩方が喜んでくれてよかった。コロナ禍でもできる事を探していきたい」と語った。(岩切美穂)