「軽石をごみでなく宝に」…佐喜眞義肢が装具製作で活用 石膏モデルを軽量化


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海岸に漂着した軽石を利用し、石膏モデルを開発した佐喜眞義肢の佐喜眞一朗専務(右)と大城ひろみさん=2日、金武町金武の同社

 美しい海岸を埋める軽石を有効活用できないか―。関節装具の「CBブレース」で知られる佐喜眞義肢(金武町、佐喜眞保代表)が、海岸に漂着した軽石を利用して装具を作る際の石膏(せっこう)モデルを改良した。海洋環境の改善と同時に、軽量化によって作業効率が上昇し、石膏の使用量を減らすことでコスト削減にもつながるという。

 社員の大城ひろみさんが、宜野座村松田の海岸に漂着した軽石を集めていたことがきっかけとなった。「海岸の軽石を見て、悲しい気持ちになった。ごみではなくて、宝にすることはできないか」と、休憩時間に利活用できないかと話していたところ、佐喜眞代表が石膏モデルに使えるのではないかと提案した。

 同社の装具は患者の足に合わせて調整するため、型を取ってモデルを作っている。従来、足にギプス包帯を巻いて取った中が空いた型に、水と石膏を混ぜた石膏泥を流し込んでモデルを作っていた。

 この石膏泥に、海岸から採取した軽石を配合できないかと取り組んだ。配合比率の試験を繰り返し、重量と強度、修正しやすさが最も優れていた水1対石膏1・5対軽石1・5の比率を採用した。今後、さらに改良を目指すという。

 約20%の軽量化を実現し、石膏の年間使用量を約35%削減することができる。佐喜眞一朗専務は「重いと作業が大変なので、軽量化されたのは大きい」と話し「利活用することで、少しでも軽石問題の解決につながれば良い」と話した。
 (沖田有吾、写真も)