1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。
1972年3月4日の琉球新報1面トップは、「沖縄に4種の核爆弾/戦闘機積載用のB43 ,B57、B61 、B28」との見出しで、共産党が入手した米軍資料により沖縄に配備されているF4戦闘機とF105戦闘爆撃機に積載する核爆弾の存在を報じている。
隣の記事では、「国会、またも空転/政府、見解提示出来ず」との見出しで台湾の帰属を巡る日本政府答弁の食い違いをめぐる混乱が続いている様子を紹介している。米政府が台湾が中華人民共和国の一部だと認める米中共同声明を出したのに対し、佐藤栄作首相はいったんは国会で「台湾は中華人民共和国のものと考えるのは当然である」と述べ、その後「中間人民共和国が台湾は中華人民共和国の一部だと主張していることは知っている(中略)中華人民共和国の立場は十分理解しうる」と答弁を後退させていた。
復帰に伴うドル―円通貨切り替えの影響で沖縄側から給与換算レートを1ドル=360円とするよう要請が上がっていることに関連して「360円で即時通貨を切り替えよ/立法院全会一致で決議/尖閣列島領有も」の見出しで、あらためて沖縄側の要求を伝えている。
復帰に関する国会での議論をめぐっては「返還まで疑問晴らせるか/低迷続ける国会の沖縄論戦/〝核、基地縮小〟依然進展なし」と、沖縄の視点から国会論議を切り取っている。
継続されているベトナム戦争の情勢では「三国国境で新作戦/南ベ軍/B52が大量爆撃で支援」と米軍爆撃機による爆撃が続いていることも報じている。
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琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。