子どもの不安和らげたい 公認心理師が絵本を制作、小学校配布へ CFで費用募る


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 公認心理師でスクールカウンセラーの阿賀嶺壮志さん(39)が、学校で生きづらさを抱える子どもたちを励まそうと制作した絵本「さばくと少年」を小学校などに配布するため、クラウドファンディング(CF)で費用を募っている。阿賀嶺さんは「不安を和らげるお守りにしてもらいたいし、大人にも手にとってほしい」と話す。

絵本「さばくと少年」の小学校などへの寄贈に向けてクラウドファンディングで寄付を呼び掛ける公認心理師の阿賀嶺壮志さん=3日、那覇市内

 絵本では孤独を感じている少年と、その苦しみを砂漠が受け止める様子が描かれる。心理学やカウンセリングの要素を取り入れ、双方の掛け合いに「ありのままの自分でいいし、好きなことを大切にしてほしい」(阿賀嶺さん)というメッセージを込めた。

 那覇市出身の阿賀嶺さんは幼少から病弱で、学校でも集団行動になじめず一人で過ごすことが多かった。支えになったのは、送り迎えをしてくれた祖父の「周りと同じようにできなくてもいい」という言葉だった。

 子どもの心のケアに関わろうと養護教諭を目指すも、全国の養護教諭のうち男性はわずか0・12%という現実が立ちはだかる。臨時教諭として赴任した学校での人間関係もうまくいかず、現場を離れ失意に沈んでいたある日、発達障害の児童から手紙が届く。「もっとおしゃべりしたかった」とつづられ、阿賀嶺さんは養護教諭以外にも方法があると決心し、大学の通信教育などで作業療法と心理学を学び直した。

 2019年に国家資格の公認心理師を取得し、現在は那覇市内の診療内科クリニックでも心のケアに携わる。CFは琉球新報のサイト「YUIMA」(https://yuima-okinawa.jp/project/detail/932)で5月2日まで実施している。県内に120ある小学校のほか、児童デイサービスなどへの寄贈を検討している。

(當山幸都)