持続可能な沖縄観光へ コロナ後、再興見据え議論 未来創造フォーラム


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(左から)県商工会議所連合会の石嶺伝一郎会長、日本旅行業協会の高橋広行会長、沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事、沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長、みずほフィナンシャルグループの牛窪恭彦執行役=7日、那覇市の沖縄ハーバービューホテル

 みずほフィナンシャルグループ(東京)は7日、持続可能な観光開発などについて話し合う「沖縄未来創造フォーラム」を那覇市の沖縄ハーバービューホテルで開催した。観光事業者らが参加し、新型コロナウイルス禍で深刻な打撃を受けている沖縄観光の再興に向けて議論を交わした。

 県商工会議所連合会の石嶺伝一郎会長と、JTB会長の高橋広行日本旅行業協会会長が講演した。石嶺会長は「アジアに近い地の利、自然と文化、ホスピタリティーという世界に冠たる観光資源があり、国際競争力で見ても優位性がある」として、沖縄経済の軸はこれからも観光だと力説。強みを生かすためにストレスフリーな観光の実現が必要として、スムーズな交通移動の実現などをインバウンドが回復する前に着手するべきだと提言した。

 高橋会長は、観光消費額の増加に向けて、滞在日数を増やすために「那覇、西海岸リゾートに次ぐ第3の滞在拠点を本島北部地域に作る必要がある」と指摘した。自然、アクティビティー、文化体験の3要素のうち二つ以上を盛り込んだ体験型の旅行形態である「アドベンチャーツーリズム」がコロナ後の沖縄観光の武器となると話した。世界的に取り組みの進むSDGs(持続可能な開発目標)について「対応できない観光地は間違いなく世界から選ばれなくなる」と話した。

 パネルディスカッションは2部制で行われ、1部では琉球銀行、沖縄銀行、沖縄海邦銀行と沖縄振興開発金融公庫、みずほ銀行の役員らが、それぞれの事業者支援の取り組みなどを紹介した。

 2部では経済団体の代表者らが、持続可能な沖縄の発展について意見を交わした。沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は、質の向上を目指す上でインフラ、サービス、観光経営の質の向上が必要として「全てに関係するのが人材の育成だ。環境変化に対応できる人材をどう輩出するか、足りない人材をどうやって外から確保するかを考える必要がある」と指摘した。

 沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は、観光の高付加価値化や年間を通じた需要の平準化、自然環境の保護と並んで、観光のレジリエンス(復元力)の重要性を説いた。「危機管理基金の創設や観光とシナジー効果のある産業を育てるなど、観光がダメージを受けている期間も動き続けられることが大事だ」と話した。

 高橋会長は、富裕層の誘致について「富裕層には物質的な豊かさを求める層と、精神的な充足を求める層がいる。沖縄は地元の文化を学びたい、地元の人と交流したい、そのためにはお金を惜しみなく使うという精神的な充足を求める富裕層の誘致を狙うべきだ」と提案した。(沖田有吾、写真も)