「とにかく女性ばかり働くのがうんざり」「負担があると誰も継がなくなる。今の時代に合った在り方を考えるべき」―。本紙が実施した調査では、トートーメー(位牌)継承をめぐって、行事の準備を主に女性が担っており、その負担感から結婚相手に長男を敬遠する傾向もみられた。先祖を敬う気持ちは同じという視点から、男女共に協力すること、親族で話し合うことなどを識者は提案している。
自由記述の回答では、社会の変化に合わせた継承の在り方について、さまざまな意見が寄せられた。継承に向けた課題として最も多かったのは「行事負担が大きい」(51.9%)だった。回答からは「男性側はお酒を楽しく飲めるので楽しいようだが、女性の立場としてはつらいの一言」(50代女性)、「女性ばかりが台所で料理をして(男性のところに)酒を持って行かされたり手伝いを強要されることがとても嫌だった」(30代女性)など、女性に負担を強いている現状が浮き彫りになった。
結婚に関して自身やパートナーにトートーメーがあることが「気になる」と回答した人は、全世代で54.2%で、その理由として最も多かったのが「行事の際の家事負担」(91.3%)だった。次いで「親戚付き合い」(69.7%)、「経済的負担」(45.3%)が続いた。
中には「付き合っていた彼女に打ち明けると、結果的にお別れする要因の一つになった」(20代男性)との記述もあり、男性側の悩みもある。
40代の女性は「先祖崇拝や伝統の継承は大事だが、個人の考えがなおざりにされたり、性別で負担への違いがあるのはおかしい」と指摘。「家族や親族で大切にするのなら、役割も同じであってほしい」と求めた。トートーメーのある長男に嫁いだという40代の女性は「祖先を大切にする風習は子や孫にも伝え、自分のルーツを知る上でとても良い行事だと思う」とし「子どもたちには男女関係なく家事は手伝うことを伝えていきたい」と回答した。
(嶋岡すみれ)