11月15日に任期満了を迎える那覇市長選を巡り、出馬への態度を明らかにしていない現職の城間幹子市長(71)の動向に注目が集まっている。与党内では出馬に待望する声が強いが、城間氏は市議会2月定例会では自身の考えを明らかにしていない。一方、自民党市議団は対抗馬の選考を続けるほか、市民団体から要請を受けた新人も立候補に向けて検討を進める。過去2回の市長選はオール沖縄勢力と自民系候補が一騎打ちで争ってきたが、市長選の構図に変化が生じる可能性が出ている。
9日に開かれた定例会見で、出馬の意欲を問われた城間氏は「決断はしていない。さまざまな方向で時期も含めて相談を少しずつ進めている」と述べるにとどめ、考えを明確に述べることはなかった。2018年の前回選挙で、城間氏が正式に出馬を表明したのは7月だった。だが大票田として知事選とのセット戦術が想定される中、オール沖縄内には「城間氏に早く判断してもらいたい」との声もある。
オール沖縄側が城間氏に早期の出馬への判断を求めるのは、2日に市民活動関係者から出馬要請を受けたNPO法人代表の糸数未希氏(49)の動きも念頭にある。未希氏はオール沖縄共同代表を務める糸数慶子前参院議員の娘で、現職が態度を明らかにしない中での出馬要請に、オール沖縄内には「意図が分からない」との困惑も広がっている。
ただ、糸数氏側はオール沖縄とは異なる枠組みを模索するものの、城間氏側との一本化に余地も残す。ある関係者は今回の要請時期について「城間氏の出馬表明後の要請ならば、オール沖縄を『割って出る』と印象付けられてしまう」と解説した。城間氏は9日、糸数氏擁立の動きについて「顔を合わせて話したこともないし、私の判断材料になるかもしれないが、まだ何とも申し上げられない」と語った。
一方、自民党は対抗馬の擁立に向けて検討を進めており、県議など6人の名前が挙がっているという。関係者は「こちらの候補者が出馬を決意できるかは(オール沖縄が擁立する)相手が誰かにもよる」と語り、現職の判断を注視する考えを示した。
(伊佐尚記、大嶺雅俊)