芸術選奨新人賞に山城知佳子さん「大きな受賞に喜び」 大臣賞は佐野元春さんら


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山城 知佳子さん

 文化庁は9日、芸術の各分野で優れた業績を挙げた人へ贈る「2021年度(第72回)芸術選奨」の受賞者を発表し、美術部門の新人賞に那覇市出身の映像作家・美術家の山城知佳子さん(46)が選ばれた。2021年8月から10月まで東京都写真美術館で開催された「山城知佳子リフレーミング」展が高く評価された。文部科学大臣賞には、ロックミュージシャンの佐野元春さん(65)や映画「ドライブ・マイ・カー」の監督の濱口竜介さん(43)ら16人が選ばれた。

 同展は、山城さんが初めて県外の公立美術館で開いた個展。初期作品「BORDER」(20年)から最新作「リフレーミング」(21年)まで29点が展示された。受賞理由では「生まれ育った沖縄の風土と歴史、政治的状況に対峙(たいじ)し、時に俯瞰(ふかん)的で批評的な視点によって、大胆な物語性がほとばしる映像・写真作品を創出してきた」と評された。さらに「さまざまな次元で自覚される境界を、身体感覚に訴え掛けて突破しようとする創作は、氏の誠実と力強さとして説得力をもって評価された」とも指摘された。

 山城さんは「想定していなかった大きな受賞に、担当学芸員とともに喜んでいる。個展『リフレーミング』はこれまでの活動と作品をバックボーンに新しい表現に挑んだ作品だった。これからも沖縄から希望と人類の課題を思考し、世界と対話できるような表現を続けていく」とのコメントを寄せた。
 (古堅一樹)