沖縄振興予算の公共工事、47%が県外企業受注 多くの利益が沖縄県外へ「還流」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄総合事務局が1979年度から2019年度の40年間で、沖縄振興予算で発注した公共工事費約1兆6100億1600万円のうち、47・0%に当たる7567億800万円を県外企業が受注していたことが10日までに、県建設業協会の資料を基にした本紙試算で分かった。多くの利益が本土へ「還流」する構図が改めて浮き彫りとなった形だ。

 本土企業が受注した額に関し、沖大・沖国大特別研究員の宮田裕氏が産業関連モデルで推計したところ、生産誘発で1兆8932億円、付加価値誘発額1兆1525億円、雇用誘発で15万4114人の損失があったと見込まれる。

 宮田氏は「県内で資金循環しない構造的な『ザル経済』の問題がある」と指摘した。総合事務局は取材に対して、文書管理規則にのっとって復帰直後の会計書類は既に処分したとしている。

 県建設業協会の資料を元に、記録が残る07~19年度の12年間で受注形態を試算したところ、企業が単体で受注した額は3972億5500万円、JV(共同企業体)による受注した額は2270億9700万円だった。単体受注額のうち、県外企業が受注したのは31・3%に当たる1242億9700万円だった。JVが受注した額のうち、県外企業が元請けとなっていたのは73・0%の1658億7700万円に上った。

 沖縄が本土へ復帰した1972年度から50年後の2022年度の沖縄振興予算(22年度予算は見通し)を当初予算ベースで試算すると、計12兆8946億3千万円だった。そのうち、主に国土交通省が所管する公共事業関係費やハード一括交付金は、78・1%を占める10兆754億9400万円だった。
 (梅田正覚)