普天間騒音、国に13億円賠償命令 第2次訴訟、那覇地裁 健康被害は認めず


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
住宅地上空を飛行し、普天間飛行場に着陸する米海兵隊のMV22オスプレイ=10日、午後5時53分、宜野湾市(ジャン松元撮影)

 【中部】米軍普天間飛行場の周辺住民3193人が同飛行場から発生する騒音の被害を求め、国に損害賠償を求めた「第2次普天間訴訟」の判決が10日、沖縄県の那覇地裁沖縄支部で言い渡された。足立堅太裁判長は騒音被害を認め、うるささ指数(W値)75以上の区域の住民に1日当たり150円、80以上に同300円の賠償を支払うよう国に命じた。1人当たりの賠償額は第1次訴訟と同水準。総額は13億4274万円。

 判決は普天間飛行場の運用は「公共性および公益性の必要性がある」とした。一方、騒音被害の受忍を認めることは「国民一般との関係で著しい不公平を生じさせる」とした。国が防音工事などをしても騒音の「抜本的対策が講じられているとは言えない」とし、睡眠妨害、事故への不安など住民の精神的被害に対し賠償を命じた。

 しかし原告が求めた健康被害や健康被害に対する不安感、子や孫に対する悪影響や不安感への賠償は退けた。低周波音の影響も認めなかった。賠償額は防音工事の実施状況に応じて10~30%減額する。

 原告団の山城賢栄団長は「提訴した4年前より騒音は厳しくなっている。判決に満足はしていない。控訴を検討する」と述べた。

 沖縄防衛局は、一部の賠償支払いが命ぜられた点について「裁判所の理解が得られなかったと受け止めている。今後の対応は慎重に検討する」とコメントした。 (島袋良太)